仮面の舞踏/前田ふむふむ
 
で偽る舞踏会の階段は、際限なく、
底辺に向かって、ひたすら、下り続けているのだ。

わたしは、贋作の時代が語る変奏のワルツを踊れば、
階段の勾配は、わたしの涙で充たされた瞳孔の海原を
隙間のない空白にして、乾いた血液の砂漠を、
さらに、錆びた鉄くずの廃墟に変えていく。
廃材として生産されるものは、苦悩と渇望と虚無とが、
窓に塗りこまれている、
死者が住む灰色の街に、少しずつ分配されるのだ。

だが、わたしは、洗濯された雫を振り返り、
傾斜する季節の囲墾地に塗された
いのちの若葉をひとつひとつ拾い集めて
乾涸びた機械を孕む細胞のなかに蓄えねばならない。
心地よく顔を蔽う
[次のページ]
戻る   Point(15)