長い告白/Rin K
 
最悪の場合は何も見えなくなる。」
ここまで一気に話すと、彼女は顔も上げずに長く息を吐いた。癖だった。僕は彼女が、まだ付き合っていないから遠慮がちに、夜の歩道橋で手を貸してほしいと言ったことを思い出した。どこか焦点の定まっていないような、透き通った薄茶色の目が、ミステリアスな魅力にさえ見えた第一印象も。

「気づいたのは5年くらい前かな。たまたま私を診察したお医者さんが気づいたの。生まれつきだったから自分の目が人とは違うなんて思ってもみなかった。お医者さんは何も分かっていない私に、『君の目はイカレている。この先どうなるか教えてあげる。失明するから、今から心しておくように。』 って。泣いたわね。
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