長い告白/Rin K
は財布を開けると、中から赤茶色で二つ折りの、薄い定期入れのようなケースを取り出した。僕は何も知らずにそれを手に取ると、中を開いてみた。上半分には写真や生年月日が記載されている。写真はモノクロだったが、いつもと変わらない彼女の表情がかわいかった。手の中の物体はまるで学生証みたいだったので、僕はあまり中身を読まずに裏を返した。黄色のシールの上にある言葉を見付けるまで、僕はその物体の正体に全く気が付いていなかった。
「身体障害者手帳。」
僕の目線の動きにあわせて、彼女はゆっくりとその文字を読み上げた。
僕は愕然とした。別にそれで彼女に対する見方を変える気は全くなかったし、今まで隠されていたこと
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