長い告白/Rin K
 
の香だけが、空気は止まっていないということを教えてくれた。

 僕は、「前の男は最低だ」といってやりたかった。でも僕自身も彼女に対する見方が変わっているのは否定できない。そして何より、彼女の冗談に素直にうなづけていないのだから、そいつと同じなのかもしれない。沈黙は彼女の絶望をあおるだろう。いけないと思いながら、僕は答えを見出せないまま彼女を送っていってしまった。

 きっと明日になったら、彼女はいつもと変わらない様子で接してくるだろう。そうしたら僕はどうしたらいいのだろう。長い告白を黙殺することはできない。「じゃあ友達のままでいよう。」とも言えない。でも「そんなことは関係ないよ。」と明るく
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