明日、いつも通りに/霜天
 
跡が漏れている。まだ秋の前には、夏もあるというのに。


世界の全てが海になるまでに。もっと熱烈なものを溶けるように、溶け合うように。求めていたはずのものが、さわさわと音を立てて今窓際のグラスの中。青い空と青い草原と青い服を着た僕が横たわる、その境界。どこまでが同じでどこからが違うのか、とか。世界がここにある分だけ繰り返されてきたはずのこと。世界の全てが海になるように、ここにはひとり。溶けてしまったはずのものが、いつまでも零れていかずに。順調に繰り返されていたはずの季節の地図は、インクの少し滲んだ部分を、どうするかで悩み。まだ、行けないでいる。未だに僕は夏にいる。仕方なしに僕は、重なっている
[次のページ]
戻る   Point(6)