明日、いつも通りに/霜天
いる生まれそこねた声、のようなもの、落ちたままで昇れない視線を拾い集めて。ポケットの、さらに内側まで息を潜めて、連れていく。未だに僕らは夏にいる、見上げても、青いままで。遠くなることも、青いままで。
明日いつも通りに、そう言って別れたはずのものが、また、混ざり合うように。世界の全てが海になる前に、またここにも秋は来るはずで。ぴったりと閉まった扉の向こうに、また君の足跡が響くように。今、僕の壁を押す背中に、静かに詰める呼吸に。
確かに、込められているはずで。
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