通過駅/霜天
いつか、と
少し頭を抱えるくらいで旅立てる昔話
私たちは傘でした、と言えば今でも信じないでしょう
折りたたまれた言葉の上で
降りかかる、(時々には)人や人から零れた
何か
を、払いのけながら、私たちは傘でしたから
(時々には、忘れられて)
あの頃も
通過する全てが
通過される全てを、置き去りにするわけじゃなく
支えるように引き摺られて
繋がっていく答え、のようなものを
今の私は知っているでしょうから
改札を通り抜けて
静かな足で
水際、すれすれを揺らさないようにして
到着する二両目に私たちは吸い込まれて
朝のホームは海の底のように
いつ
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