消費と熟練工(加筆訂正)/佐々宝砂
せ給料は安い。でも私は工場の仕事が好きだ。できればなにか技術を身に付けて、熟練工になりたい。私は大量消費社会に住む普通の消費者だが、同時に、消費されるものを生産する人間でありたい、ただ消費するだけの人間ではいたくない。
そしてそれは、詩においても。詩人を含む芸術家は、詩を含む芸術をつくればよい。芸術は非常に立派な、尊敬に値する仕事だ。芸術作品は、芸術家の魂としっかり結びついていることが多いだろうから、簡単に消費されて消えるような儚いものではない方がいい。でも私は、必要とされるもの、需要のあるもの、消費されてゆくものをつくりたい。芸術作品のレプリカとも言える食玩のような詩を、手慣れた手つきで素
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