夜/葉leaf
 
打ち込まれていたのだ。
 また、芸術の鑑賞の尺度に「美しさ」があるように、夜の鑑賞の尺度には「正しさ」がある。私はある夜を「非常に正しい」と感じる一方で、別の夜を「全然正しくない」と感じる。ある夜を「精妙な正しさを湛えている」と評するかもしれないし、別の夜を「荒削りな正しさが鑑賞者を圧する」と評するかもしれない。「正しさ」を感じているとき、私はひときわ私の外に出て、世界に描かれるのを待っている。
 夜の無数の根からは「夢素」が滴り落ちてくる。この夢素が、記憶の葉に切断され、衝動の棘に貫かれ、概念の液により貼り合わされることで、人の夢が凹凸のある一枚の痣として完成する。夜が正しいほど夢素の量は増
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