プルーフロック氏に贈る恋唄/佐々宝砂
 
国の窓もいちご色の窓も
砕け散ったガラスで赤毛を飾ろう
そのうちビルも崩れてくるだろう。

だから、出かけよう、一緒に。

宇宙をかきみだすと約束したのは誰?
私のやせた腕を知っていると言ったのは誰?
光も闇も夕暮れも朝焼けも晴天も曇天も
何もかもすっかり知っているって威張ったのは誰?
道化た半ズボンに真っ赤な血飛沫ちらして
笑いをとったって悦びながら泣いていたのは誰?
コーヒーの匙で人生を計るつもりなら
宇宙をすみからすみまでかきみだしてからにして
もがきまわって壊れて崩れて得体の知れない物吐き出して
私の赤毛をどろどろ汚してからにして。
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