批評とは何か(ツギハギ)/ポロリ
 
まう前提のことである。したがって、異なるパラダイムの内部で得られた観察結果が対立するとき、原則に基づいて(つまりレトリックによることなく)、相克を調停できる方法はない。互いに対立する記述を事実に照合して吟味するわけにはいかない。というのも、何をもって事実とするかが、まさに問題となっているからだ。一方の側が引き合いに出す事実は、もう一方の側によって、誤謬と見られるだろう。この意味するところとは、科学は、科学の記述を自然という独立した判断の基準に委ねてことをすすめるのではないということ。むしろ科学が発展するのは、あるパラダイムの支持者が、別のパラダイムの支持者ですら認めざるをえないようなかたちで、自説
[次のページ]
戻る   Point(3)