マトス  (ショートストーリー)/よーかん
 
こで続けている。
「あの今、何時でしょうか。」
「はい。時計は六時二十二分を指しています。」
たぶん合っている。
「少しだけなら。」
「そうですか安心いたしました。ほんの少しのお時間だけで十分です。」
まとす、どちらが好きかを答えれば開放してくれるのだろうか。
「宗教とか・・・。」
「いえ。そんな大それた事では。そうですね、確かに好奇心は私の宗教みたいなものではありますが。」
そう言うと男はまたさっきのはっはっはっはぁーを二度繰り返した。
パチンコの整理券待ちのために駅前に来たらしき三人の若者グループがそれに呼応するようにどっと馬鹿笑いをしたが、すぐに店内は静かになった。

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