マトス (ショートストーリー)/よーかん
り、あなたと私の関係を象徴する記号というわけです。」
そう言って可笑しそうに目だけで微笑むと、一度カップを僕にあげてから、男はまた、ゆっくりとソイラテを口に含んだ。
「あの。」
僕が質問する番だと思う。
「その。」
「何か?」
男はソイラテにスプーンを入れてユルユルと動かしている。
「タバコはお吸いになりますか?」
「はい。」
「ちょっと灰皿を取ってきます。」
僕は財布をつかんで、指にタバコを挟んだまま席をはなれた。
「あのままスプーンを見ていたら催眠術にでもかけられていたかもしれない。」
「んなわきゃない。」
僕は頭の中で会話をすることで気を落ち着けようとした。
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