マトス  (ショートストーリー)/よーかん
 
の名前は佐藤と言うらしい。
「私はそういう無邪気な所がある人間です。」
「・・・はあ。」
男が微笑んでいる。
声が細く裏返ってしまったのが気になったが、そんな事はどうでもいいと思い直した。
「あの、失礼ですけど、どちら様でしょうか。」
僕はなるべくニュートラルな声を選んでそう聞いた。
「はい、ですから、今朝の私はラージサイズのソイラテです。」
「ラージサイズのソイラテさんですか。」
僕は真顔でそう聞いてみた。
「はっはっはっはぁー」
男の奇妙な笑い声に一瞬店内の客が注目して、すぐ元にもどった気配がした。
「いえ、ラージサイズのソイラテは名前ではありません。記号です。つまり、
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