マトス  (ショートストーリー)/よーかん
 
もすも好きじゃありません、だが好きです、そう攻撃してみようか。
コーヒーを飲む。
タバコを吸って、ガラスに煙を細く吐く。
男は何も言わずにただ僕を見ている。
もしかしたらホモなのかもしれない。
まが好きですか、そうですか、まが好きな人に悪い人はいません。
すですか、すはいいですね、すが好きな人は感性が鋭い人です。
交差点の横の街灯の明かりがついたままだ。
鳩が二羽、街灯にとまって暖をとっている。
「朝のこの時間帯は私も好きです。」
男がソイラテを口に含んで外を眺めた。
「あのビルの上のアンテナにカラスがいつもとまっています。」
僕がそう言うと、男は興味深そうに頷いた。

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