異形の詩歴書 14歳冬/佐々宝砂
え漂っていた。母が後ろで目を光らせていたからいかがわしい本を買うことはできなかったけれど、私はそこでひとつの宝を見つけたのだ。
それは、ボールペンで汚したようなあとがたくさんあるどことなく薄汚れた表紙の雑誌だった。「現代詩手帖」1978年5月号、特集がファンタジーと書いてあって、メアリ・ド・モーガンの童話が載っているらしかった。すでに書いたように、私はモーガンの童話が大好きだった。私は詩が読みたかったからではなく、モーガンの童話を読みたいばっかりにその雑誌を買ったのである。
だが、14歳の私に「現代詩手帖」は難解に過ぎた。モーガン、立原えりか、天沢退二郎の童話は理解できたし、谷
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