薔薇と らっきょう/千月 話子
らった小皿を
やわ布から取り出し
らっきょうを四粒 そこに載せました
ここは 古い家ですので
陽光が斜めに射す 風の良い縁側で
この可愛い食べ物を戴きましょうか
春の日の蕾をつけた花々が
らっきょうを噛む度に
ゆらゆら 揺れているようです
私は 下ろしたばかりの
白いワンピースを汚さないように
上手に朱塗りの箸で摘んでは
ゆっくりと噛んで ゆっくりと噛んで
あまりに早いリズムで食べてしまうと
春風が素早くやって来て
未熟な花茎を手折って行きそうで
また ゆっくりと噛んで ゆっくりと
ああ、、水琴窟でも鳴らしましょうか
こ
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