台風が近づいていた/たもつ
タをほじくる。
十個ほどその作業をすると、つまようじの先は折れ、裂けてしまう。
やっぱり竹串の方が良かったかな、というと
竹串の買い置きがないんだからしょうがないじゃない、と女房が答える。
我が家の一日のつまようじの消費量はせいぜい二、三本だというのに
駄目になったのが次々と捨てられていく。
梅の実のいい匂いがする。
僕の勤務先には梅干が嫌いな上司がいる。
戦後、食糧難の時代に青梅をそのまま食べて同級生が死んで以来
梅は見るのも嫌だそうだ。
僕がヘタをとっている側から
女房は梅を量りにかけて、塩梅を見ながら漬けていく。
土用干しをしなければいけないのだが、
一回つけ
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