早月/アルビノ
もちろん興味もなかった。
「知らんでもおんねや。おまえのおかん…オレの嫁さんやな、そら、ビッとした美人やったんやけどな。」
「……」
「”さつき” 言うんよ。」
「……さつき…?」
「お前は知るはずない話やけどな。オレは親戚付き合いもせんし、逃げた嫁の話もお前なんぞにゃせん。やからほんまたまげた。知らんはずの母親の名前をわざわざ選び抜いたDNAに驚いたわ。」
「知らんかったやろ?たまげたやろ?お前もつっぱっとる割にマザコンやのう。」
父親は何も喋れないでいるぼくを見て、「ホレ、見ろ」と言わんばかりに陽気に酒を飲む。
早月は母親だった。ぼくの、母親だった。
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