早月/アルビノ
 
レゼント?いや、ろくに賽銭も投げないぼくに神様が与える訳がない。だけど少女はぼくのところへ近付く。手を伸ばす。小さな手のひら。楓の葉のようだ。ためらいのない足どり、ぼくに近付く。手を差し出す。あぁ、あぁ、あぁ!


早月がぼくの世界にやってきた!ぼくは差し出された手を握り、アパートへ連れて帰った。お前の家はここだと教えてやらなきゃならない。トイレの場所もカギの置き場も教えてやらなきゃならない。早月はずっと自分の家を見つけられずに彷徨っていたんだ。ぼくを見つけられずに途方に暮れていたんだ。なんて健気な早月。ぼくを愛する為に、ぼくに愛される為に、早月は小さな足をうごかしてぼくの道を辿っていたんだ
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