早月/アルビノ
んだ。どうしようもない愛おしさがこみあげて、早月の体をしっかりと抱きしめ、そして愛らしい顔を見る。早月も泣いている。産声のようだ。ぼくと早月にバースデーが訪れた。雪の残る弥生の終わり、早月は産まれた。大きな産声を上げて。
4
早月は泣きじゃくった。ぼくを拒絶するように泣きじゃくった。
ぼくはすぐに間違いに気付いた。これは早月ではない。ぼくを愛さない。ぼくを必要としない。ぼくに恐怖と敵意に満ちた目を向ける。これが早月な訳がない。これが早月な訳がない。耳障りな声で叫ぶ。わめく。笑いもしない。これが早月な訳がない。
だけどこれ
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