早月/アルビノ
あたり、公園がある。公園はいつも平和で、晴れている。ぼくはいつもそこの傍観者で、エキストラにすらなれない。主役はいつも母親と子ども。早月がいればぼくはこのシーンの主役にだってなれる。早月はすべての可能性を秘めて眠っている。ぼくのシナリオを握りしめて。
昼下がりの公園に、美しい背すじの母親と小さな女の子があらわれる。当たり前の風景にぼくはいつも苦しさを覚えていた。気管がカーッと熱くなって、ぼくの中に詰まっている内蔵すべてを掻き出してしまいたい衝動に駆られる。早月を求めるぼくは、きっとあの母親に嫉妬しているんだ。なんだか不妊症の女のような気分だ。ここまで来りゃ病的だな、結婚願望なんて微塵も持ち合わ
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