いつもポケットに詩人/佐々宝砂
ドワード・リアの『ナンセンスの絵本』。長い小説だと短い休憩時間に読む気にならないから、短編集や詩集をポケットに入れる。それもはじめて読む本ではなく、何度か読んだ大好きな本を入れる。めちゃくちゃ疲れる仕事で本なんか読めないようなときもあるけど、それでも私は本を持ってる。
今日、こういう本って、私にとってお守りなんだな、と、ポケットにリアのナンセンスな本の重みを感じながら思った。そしてリルケの『マルテの手記』を思い出した。あれを読んだのはもうずいぶん前のことだから正確な引用はできないけれど、マルテがミルクホールだか図書館だかで「僕は一人の詩人を持っている」とかなんとか考えるシーンがある(曖昧です
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)