「箱の中の猫」/篠有里
ばこの家は殺された猫の歴史、
それと重なる部分がずいぶん多い。
私はまた考える。
あの日殺された猫と、
今日埋められる猫はきっと別のものであり、多分どこか同じモノだろう。
つながりはニアイコール(≒)であり、
もしかしたらノットイコール(≠)であるかもしれない。
箱の中の猫の生死など考えても結論は出ないように、
この問題についてもいくら考えてもまったく意味のない事だ。
家に入ると、誰もいない。
昼とも夜ともつかない長い廊下を歩いていく。
それが私の家。
猫の葬列。
多分どこかで家族全員が嘆き悲しんで、
あの猫の葬式をしていてくれているのだ。
それは母の父、私の祖父
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)