やまびとの散文詩(二)/前田ふむふむ
 
しい古代の象形文字の断片が、繰り広げる死の舞踏に、
霞がかった砂塵が吹き上げ続けると、
時の到来とばかりに、いっせいに飛び上がる海猫が、
銀色をした艶やかなものを
咥えてゆくことを不思議とばかりに、
誰もが食い入るように見ていたが
みるみるうちに、わたしたちの瞳は、
山野を飾る野いちごの果実に、蔽い尽くされてゆくのである。

やまびとの散文詩―断片6

わたしたちは、年老いたやまびとが、ふるさとの母の涙がしまってある
青い鏡の中を、幼子のまなざしで眺めている荒野を
薄い背中に感じながら、あずかり知らぬ思いが込み上げてきて
海猫が舞っていた青い断崖に、怒りの石を投げるが、
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