やまびとの散文詩(二)/前田ふむふむ
 
書き始めたが、
次第に書物は厚みを増していった。
そして、見たことが無い、
東の空を飛ぶ虚飾に満ちた金粉を振りまく、
鋭利な呪文が書かれた紙幣らしきものが、見え隠れして、
わたしたちを牽制して、また、何処からともなく、
安堵したような笑い声が聞こえるのを、知るに及んで、
わたしたちは、時とともに、この青い断崖の麓に住むことが
始めから決められており、他に選択がありえなかったことを、
少しずつ感じ取ることが出来たのだ。

やまびとの散文詩―断片5

わたしたちは、この幸せの上に聳え立つ青い断崖を見上げて
細い腕を震わせたが、時より発光している灰色の西の空を覆う、
夥しい
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