「3.ブラウン博士の謀略」/umineko
法論としては、現在の技術力ではほとんど最強なわけです。
ひとまず手を洗いましょう。あっ、その手は拭かなくていいですよ。で、濡れた手をテレビにさしだし、画面に水を思いきり、ぴっ、と放って下さい。
どうですか?
画面に飛び散った水滴は、そのひと粒ひと粒がきらきらと虹の輝きを見せ、ブラウン管全体が光のオブジェとでもいうべき変貌をみせる。精緻な偶然に、しばらく見とれてしまうほど。
テレビは本来、意味を伝える箱でしかない。しかし水滴をいっぱいに浴びたブラウン管は、「伝える」ことを放棄して、ただその光を「美」のためにのみ奉仕している。そこには、いかなる作
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