偽・大洪水?散文詩/前田ふむふむ
 
、息絶えていった、暁をいっぱいに浴びた、箱舟は広々とした平地の溝に用意されている、それは、八人の子供を箱舟の柱に縛り付け、「人間は死ぬために生きるものであり、死にむかって時間のなかを存在する生き者である」という命題の毒杯を与えて、寂寥とした荒野にひかりを、さしている太陽に生贄として、さしだした、死にむかって生きる者だけが乗る船である。
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それは、太陽神にたいする海に住む人間たちの救いの儀礼であった、だが太陽神は、八人の子供たちを選んだのである。
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箱舟に乗せられた生きる者は飢えと渇きをいやすために、柱の縄を解いて、波のない淀んだ海にいき、魚を捕っては食べ
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