青い円形の家?双子の姉妹/前田ふむふむ
、橋の下に隠れて、忘却の河に流れてゆく。河はしだいに溢れて、姉の掌の中で青い円形の家が泳ぐ。姉は必死に溺れないように手を、大きく膨らませ続けている。すると、青い円形の家から、終わりのない忘却し続ける平凡な団欒のひかりがともる。双子の姉は、過去のかすれた装飾を際立たせて、妹と価値を共有して、共に青い薔薇の棘の上を歩く夢を見る。青い円形の家に、炎のような愛がよぎってゆく。
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双子の妹は青い円形の家のくちびるの中から、失われた過去を取り戻すために、三面鏡で次々と溢れ出す多面体の少女を演じてみる。顔を赤らめて、将来の夫の笑顔を支える細い腕が、無邪気な空想の炎を想像する。雨が止み、洗濯物が乾くま
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