青い円形の家?双子の姉妹/前田ふむふむ
 
くまで。夕陽が暮れるころ、青い円形の家に向かう双子の妹は、たくさんの大きな野菜をもって、いのちの泉をつくる。幽霊の囁きを楽しむ夕餉の為に。
***
双子の姉妹が青い円形の家で、今日を追憶するが何も覚えていない。赤い波を浴びて、鮮やかな春は忘却の底にいるおんなたちの地獄を見ている。されど、季節は高い塔の影から微笑む。季節は、双子の姉妹が、逞しい胎児が産声を上げる美しい記憶と新しい地獄をつくろうとしている未来を喝采する。一匹の優しい獲物である美しい魚に撫でられながら、羽根の揺り篭の船に乗った双子の姉妹は、今日も隆起した夜の海原に、からだを寄せ合いながら一人になり、沈んでゆく。

戻る   Point(4)