七つの短編詩「少年の青い揺り籠」/前田ふむふむ
 
で、
おもいきり言葉を吐き出したならば、
柱時計の音は止み、
あとには茫漠とした虚しさだけが残った。
徐に、ゼンマイ仕掛けの柱時計が
なつかしくなった。



(空)
コンクリートでガチガチに固めた
窓だらけの高層ビルの側面に
凛とした空が映っている。
眺めていると、
こっちが本物だよ と本物の空に、
挨拶された。
しばらく、見くらべていたら
美しいと想ったほうがほんものだよと
誰かがいっている。



(もしあの日、雨が降っていたら)

あの日と同じ晴れわたった空の下
少年たちの声がきこえます。
あなたは野球大会で
優勝するとこころを弾ませて
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