七つの短編詩「少年の青い揺り籠」/前田ふむふむ
 
が僕たちを見ている。
そう、あの青い塔のある丘まで競争だ。
君の長い髪がそよかぜにのって
春の歌を奏でている。
僕が勝っては駄目だと、
袖を引っ張った君は
やさしく、はにかんだ。

太陽の日差しがおだやかな丘のうえで
かすかな涙が君の頬をつたった
大丈夫だよ
僕が君の涙と涙のあいだの夕暮れを
無限の花で埋め尽くしてあげるから。


(玩具箱)
埃を被ったガラクタ模様の玩具箱を
開けたら、言葉の破片が飛んでいた。
破片はくっついたり、離れたり
小さな社交場をつくっている。
楽しそうなので、中から玩具をひとつ取り出したら
古ぼったい、ただの箱になった。


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