七つの短編詩「少年の青い揺り籠」/前田ふむふむ
「僕は色々な人生を歩んで来たんだよ」
といっている。
十円玉を感傷的に見ていたら
「人生を君に任せるのも、少しこころもとないな。」
ともいっている。
僕は、十円玉が独りでは寂しいから、
恋人でも作ってあげようと思い、
家に帰ってから プラスチックの小銭入れから
金ぴかの五円玉を取り出して
テーブルの上に十円玉と並べて置いた
十円玉は照れくさそうにしていたので
少し、奇麗に磨いてあげて
「お似合いのカップルだね。」
というと、五円玉に寄り添いながら
微笑んだ。
(そよかぜにのって)
そこを曲がると目的地だ。
たくさんのヒヤシンスの花が僕
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