「ばあちゃんの不思議なラーメン」/do_pi_can
ていた。そこへ、亭主が降りてきて、カウンターの中でなにやらゴソゴソし始めた。亭主は、インスタントラーメンを作っていたのだった。へぇ、こんなことがあったのかと、驚いた。これは、ばあちゃんの知らない思い出だった。亭主は、鍋から直接ラーメンをすすり始めた。時々、鳩の泣くような声を出すので、あまりに慌てて食べるので、てっきり喉に詰まらせているのだと思っていたら、実は、亭主が泣いているのだった。空襲で店が焼けたときでも泣かなかった亭主が、深夜のカウンターの中でインスタントラーメンを食べながら泣いていた。
「あんた。」と、思わず声をかけたら、振り向いた亭主は、目にいっぱい涙を浮かべて、それでも照れ笑いし
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