「ばあちゃんの不思議なラーメン」/do_pi_can
ゴルの草原に行こうと、亭主が言った。本当に行けそうな気がした。
亭主が兵隊に取られていった思い出や、帰ってきた日の事、空襲で店が焼け落ちてしまった思い出や、終戦を何とか乗り切って、新しい店が完成した思い出もあった。和幸の誕生の思い出もあった。俺は、こいつと一緒にモンゴルに行くんだと、亭主は、嬉しそうだった。
一番悲しかったのは、一人息子の和幸が死んだ時の思い出だった。出前の注文を取るために店に電話を付けたばかりの頃だった。病院からの連絡で、和幸が交通事故で瀕死の重症とのことだった。店にいたお客さんに車に乗せてもらって、慌てて駆け付けたが、間に合わなかった。包帯でぐるぐる巻にさ
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