九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
、コックさんは基礎から始めて長い習練が必要です。もちろんこんな例えは別の観点からはのっけから反論は簡単でしょう。時には舌を刺す辛い料理だってあるさ。あるいは、食うや食わずの飢えた人々にとっては無用のことではないか、等々。どうやら話が脇道に逸れてしまいそうなので、この議論は別の機会に譲ることにして、テクストを読むことにしましょう。

 一 押韻の芸術的価値
 九鬼の『日本詩の押韻』論は内容論ではなく形式論であることを前もって断っておきます。「ポエジー」を盛るに相応しい「ポエム」という器の有り様についての考察であります。この辺が誤解を招き易いところなのですが「ポエジー」だけでは「詩」ではないとい
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