九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
ということ。ポエジーに相応しい器(ポエム)に盛られて、あるいは内容と形式が表裏一体のものとなって初めて詩を人前に出せるということなのです。
詩は他の芸術と同様に内容と形式とに分けて考へる事が出来る。詩 の内容は感覚、感情、思想等の複合体である。詩の形式は言語相互間 の関係に存するものであるが、二様の異なった見地から見る事が出来 る。一は言語の有する音の連続に基づく量的関係で、他は音の特殊な る質的関係である。量的関係は相接続する音綴の数、又は長短又は強 弱に基礎を有するもので、詩の律を形成してゐる。質的関係は即ち詩 の韻を形成するものである。斯様な形式を詩に採用することに就いて は、徒ら
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