九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
『若菜集』は明治30年(1897年)であります。2000年の今日まで数えてもたかだか100余年しか経ていないのです。もちろん短歌や俳句は日本の伝統詩形としてゆるぎない地位を得ておりますが、現代のいわゆる「詩」というジャンルは西洋から来たものです。「模造品」は現代詩のすべてに冠されてある宿命なのです。その近・現代詩の浅い歴史の中で昭和23年(1948年)に出版された『マチネ・ポエチック詩集』の実験は戦後という時流の波にあっという間に呑まれてしまいました。現代詩の歴史は何と言ってもまだまだ浅く、とてものことに完成の域にたっしてしまった訳ではないのです。そのような大きな詩の流れの中で『中庭』は1994年
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