九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
ことに心もとない次第ですが、里村氏を初め拙稿を目にされた読者のただ一人でも、押韻に興味を抱き、九鬼周造の原著を読まれる機縁ともなれば、望外の幸福です。
 日本の現代詩は、過去に多くの遺産を持ちながら、福永武彦、加藤周一、原絛あき子、中西哲吉、窪田啓作、白井健三郎、枝野和夫、中村眞一郎たちの『マチネ・ポエティク詩集』(1948年7月 眞善美社刊)の押韻定型詩の試みを最後に、僅かに数人の詩人を除いては殆ど抹殺されており、世はまさに自由詩のオンパレードであります。このことは日本の詩人の怠慢というべきですし、一人でも多くの詩人が遅れてしまった押韻の鉱脈を次世代に引継ぎ、将来のより豊かな実りを夢見たいと思
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