九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
のバーラム王な どは『詩經』の時代から見ればずっと新しいことである。いづれにし ても西洋が押韻法を東洋から学んだことは確かである。ギリシャ、ロ ーマの古文学には押韻は規範として発達するに至らなかった。ただ押 韻の契機はラテン文学にあつて次第に詩の重要な要素となって来た。 さうして嚢に挙げたやうな押韻の現象がヴェルギリウスやホラチウス には時として見られた。(九鬼周造全集第四巻265ー266頁)か ういう状態の下に西洋は規範として押韻をアラビアを通して学んだの である。西洋で初めて押韻をしたのは紀元四世紀にシリアに住んでゐ た教父エフレムの作ったラテン語の詩であると一般に考へられてゐる。 紀元二世紀
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