九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
の資料まで漁渉し、押韻の日本詩における起源についても更に詳細に述べておりますし、三好達治への反論も加えられます。
 押韻の日本性について九鬼は文字通り万巻の書を引いて根気よく説明しておりますが、ここでは押韻の世界的(勿論日本をも含んでの)普遍性を歴史的に説いた部分を紹介しておきます。

  元来、押韻は決して西洋に起源をもつものではない。押韻が規範的 意味をもつて発達したのは東洋にありとされてゐる。印度か支那が恐 らく押韻の発生地であらう。『詩經』に押韻詩があるのを見ても、支 那では既に周代に押韻が行はれてゐたことがわかる。押韻の起源に関 する伝説がペルシャにあることを云ったが、ササン朝のバ
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