九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
とします。

  「瑕瑾の無いソネットはただ一つだけでも長編の詩の價がある」(ボアロー)

  人は黒黒ぬり消せど
  すかして見えるは底の金
  時の言葉は隔つれど
  冴ゆるは歌の金の韻  (與謝野晶子)                                             十 押韻の日本性と世界性
 九鬼周造の『押韻論』及び『日本詩の押韻』の総括である本章は冒頭で述べたような経過を辿って完成されたものですが、全集第五巻の『日本詩の押韻[B]』では、この最終章は「押韻の普遍性」と題されております。
 最終決定稿においては当時における、昭和10年現在の最新の資
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