九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
でもいふらしい

 幾たびか躓きもした
 その都度よろめいて倒れ
 額に傷ついたおのれ
 運命とかの顔も見た

 下駄の音はうつろな音
 コトコトと空鳴りしてる
 口には剥げこけた煙管
 吐きだす奴は獨り言

 他作品に「散歩」「コアントロオ」「ルクソオル」があります。

 四句の押韻、五句の押韻、七句は四句と三句の組み合わせですから、後で触れるソネットの形式に譲りますが、八句の押韻もあります。ここで再び九鬼の本文を引きます。

  八句の押韻は支那では律詩が一種の解決を与えてゐるが、押韻の立 場から云へば律詩、少なくも五言律の形態は四句一韻と見ることも出 来るもの
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