九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
ります。以下本章の結び。
 
  要するに日本の詩韻の量としては、単純韻は要求を充すことが出来ず、是非とも二重韻が典型的のものとして立てられなければならない。 また拡充単純韻は既に或度まで韻の効果を表はすから、補助的に用ひてよいものであり、拡充二重韻は豊富な韻として尊重して差支ないものである。(「韻の量」全集第四巻355頁)

 八 韻の質
 韻の質についてはまず「韻を質の上から見るとき、いままで量について述べたものは韻として概して完全なものであったが、それに対して不完全韻と稱すべきものがある。」として、不完全韻を次のように分類します。

(甲)音の応和の不足のもの、
  (一)母
[次のページ]
戻る   Point(6)