九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
う土壌の上に立っていよいよ詩韻の構造について述べています。それは、本章の「韻の量」と八章での「韻の質」九章の「韻の形態」です。韻の量を整理すると次の様になります。

(甲)単純韻ー成員たる母音(または母音以下の応和の場合)
(乙)拡充単純韻ー母音に先行する子音に亙っての応和の場合
(丙)二重韻ー最後から二番目の音綴の成員たる母音以下の応和を示すもの
(丁)拡充二重韻ーその母音に先行する子音に亙る応和を示すもの

 著者は韻の量についても『歌經標式』の例により日本の詩を、更にイギリス、フランス、ドイツ、イタリー、中国、日本の現代詩までを豊富に検討し、各国語の特性を詳細に調べた上で、日本
[次のページ]
戻る   Point(6)