九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
人の任務であらう。私が現代の 日本詩人に求めることは、第一に美への絶対的帰依である。第二に美 への奉仕に於いて如何なる難関をも突破する勇気である。(「日本詩 の押韻可能性、消極的理由」全集第四巻319〜320頁)

 末尾の「美への絶対的帰依」とか「美への奉仕」とかの表現は今日から見るとやや穏当でないようですが、「美」を「詩」と読み換えてみれば、納得できる筈です。何故なら詩人にとって「詩」は全てであるのですから。

 七 韻の量
 今までの論考は日本語の詩に押韻が可能であることの実証的検討であり、証明でした。押韻が可能であるばかりでなく過去において優れた遺産が沢山存在しており、そういう土
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