九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
 
語の統体と関係させて考へな ければならない。全章に亘って母音に比して子音がよほど多い場合に は、句末の韻にあっても特に子音の協力を強調することが必要である。 全章に含まれる子音があまり多くない場合には、必ずしもその必要が ない。都会の雑音の中では密語にもおのづから声を高めるが、静かな 山路では木の葉の落ちる音さへも響く。(「音声学的性格」全集第四 巻296頁)

 消極的理由の最後の疑問は「文の構造」です。日本語文の構造上押韻に不利であるとして挙げられる三つの事実。
 (一)用言が補格に立つ体言の後に来る。
 (二)用言の中でも助動詞がよく文の最後に来る。
 (三)助詞が詩句の終りに来易
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