九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
惟する」からですが、それでも念のためきちんとしておこう、との意味で詳しく(イ)文字、(ロ)音声学的性格(単語の聴覚的性格)、(ハ)文の構造について、考察しています。
まず「文字」ですが、フランス語でも英語でも「内容たる声音と視覚的象徴たる文字とは必ずしも常に完全な一致を示してはゐない」事実を挙げています。そして「韻とは聴覚上の事実」であって「耳に聴くべきもので、眼に見るべきものではない。視覚の範囲に属する文字とは、本質的に関係のない筈」としラジオによる詩歌の朗読の例を挙げ「ラヂオが印刷機械の後に発明されたことは、聴覚文明が既製の視覚文明の一角を破って、我々の生活に歌謡発生時代の原本性を再び
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