九鬼周造著『日本詩の押韻』再読/狸亭
西條八十、金子光晴、佐藤惣之助、柴山晴美の詩行を肯定的に引用しております。
三 日本詩の押韻可能性、積極的理由
この章では川路柳虹、福士幸次郎、生田春月、三好達治らの「元来、日本語は押韻に適しない言葉ではあるまいか」という疑問、あるいは断定に対する反論が述べられます。里村氏を含めおそらく、今日までの天下の趨勢はこれら著名人の言葉を既成事実として、みづからの手で試みることなく、押韻の可能性を封じてしまったようです。九鬼は次のように宣言します。
私は押韻の採用は日本語にとって不可能だと断言することに反対す る。私が押韻発達の可能性を信ずる積極的理由は、音韻上の関係が古 来日本の詩
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