三人の少年/麻草郁
 
苛立った。
それでも歩く事はやめなかった。輝きはまだ遠くの方にあって、少年を魅了した。
やがて、疲れた彼は、いきどまりに辿り着いた。
「右も左も怒られる、どうすればいいんだろう」
まわりには、彼と同じようにぼんやりと立っている人ばかり。
皆、怒られないように、決まりを破らないように、じっと黙って立っていた。
ぼんやりとした輝きを探すと、いつのまにか輝きはどこにもなくなっていて、辺りはどんよりと濁った空気になっていた。
彼は泣いた、泣きながら思った。
「なぜだろう、僕は怒られない方へ進んだのに」
立っていると、頭の上から怒号が響いた。
「歩け!」
少年はびっくりして歩き出したが
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